大相撲引退後の話⑤

前回のブログでは、本の出版をしたまで話を書きましたが、ブログを通じて連絡が来て依頼された仕事は他にもあって、それがCMなどへの出演でした。

ただ、最初のころはスタンドインという役というか役割で呼ばれることが多くありました。

私もCMとかテレビの業界には全くの素人なので正直「”スタンドイン”って何だ?」と最初に思いましたが、スタンドインというのは、本来出演するタレントさんや出演者の代役で、カメラリハーサルや立ち位置などを決めるための役で、実際のCMの本編には出演いたしません。普通の役者さんなどは、スタッフが代わりにスタンドインをしたりもしますが、力士を使ったCMになると体格が違うのと、四股などの専門的な動きが必要なので、私のような元力士が呼ばれるのです。

なので、白鵬関が出演した住友林業のCMや、サントリーボスのCMで高見盛関が出たCMなど、私がスタンドインを務めました。
そしてそういうものに出始めると、窓口が出来るというか、どんどん依頼が入ってくるのです。

 

※写真は、高見盛関と武州山関と出演したサントリーの缶コーヒーBOSSのCM撮影で撮った写真。行司さん以外はみんな同級生。そして私だけ引退した後だから、マゲのカツラ。

で次に出たのが、こちらでTOYOTAの新聞1面広告。

こういうCMや広告というものは、元力士だからといって誰もが出られるわけではありません。
例えば犯罪歴がある人やそのブランドのイメージを損ねる人物は出演を認められないので、書類審査とかも厳しいのです。

私は、決して強い力士では無く、幕下止まりのただ普通の元力士でしたので、正直演技なども経験が無く、撮影現場に行くたびにドキドキして緊張をしていました。ただスタンドインの仕事だと、実際にはカメラが回ってないので、そんなに緊張せずに、指示された動きやセリフを言ったりして、それで結構鍛えられた気がします。

白鵬関が出演するCMでは、白鵬関の見本役も兼ねているので、「横綱、こんな感じでお願いします」という参考として私が最初に演じてみせたり、セリフを言ったりするのです。

この時は、まだスーパーの店長をしながら撮影などにも参加していたので、休みをとったりしながら出演しました。

CMや広告というのは、競合というのがあって、同じ業種の他社のCMには出演出来ないという契約があったりします。

なので、例えば私は携帯電話のauのCMにも出演したのですが、その場合、ドコモやソフトバンクのCMには一定期間は出演が出来ないルールがあるのです(契約によります)

私がちょい役で出演してきたCMは結構な本数あるのですが、日本ハム「シャウエッセン」のCMに出た時は、その時まだスーパーの店長でしたので、仕入れ業者の日本ハムさんの営業マンに「シャウエッセン特別セールやろう!」ともちかけ、「当店店長がシャウエッセンのCMに出演しています!特別価格」として販売したこともありました。

さらに困ったことは、西友さんのCM出演依頼が来たことがあり、それだけはさすがにまずいなと思い出演を辞退しました。さすがに現役のスーパー店長が、他社のスーパーのCM出てるわけにはいきませんからね(笑)

1つずつ依頼された仕事をこなしていくと、またどんどんといろんな依頼が入ってくるのです。

また続きは次回のブログで

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